目次
1. はじめに
CUDA(Compute Unified Device Architecture)は、NVIDIAが提供する並列コンピューティングプラットフォームおよびAPIであり、GPUを活用した高速な計算処理を可能にします。 機械学習やディープラーニング、科学技術計算など、多岐にわたる分野で利用されています。 本記事では、Ubuntu環境でのCUDAのインストール手順を詳しく解説します。2. 前提条件
2.1 対応GPUの確認方法
まず、システムに搭載されているNVIDIA GPUがCUDAに対応しているか確認します。 以下のコマンドをターミナルで実行してください。lspci | grep -i nvidia
このコマンドの出力にNVIDIAのデバイスが表示されれば、GPUが認識されています。
詳細な対応GPUの一覧は、NVIDIAの公式サイトで確認できます。2.2 Ubuntuのバージョン確認
CUDAは特定のUbuntuバージョンでサポートされています。 以下のコマンドで現在のUbuntuバージョンを確認しましょう。lsb_release -a
一般的に、UbuntuのLTS(Long Term Support)バージョンが推奨されます。
最新のサポート情報は、NVIDIAの公式ドキュメントで確認してください。2.3 gccのインストール確認
CUDAのインストールには、gccコンパイラが必要です。 以下のコマンドでインストール状況を確認します。gcc --version
もしgccがインストールされていない場合は、以下のコマンドでインストールしてください。sudo apt install build-essential

3. NVIDIAドライバのインストール
3.1 既存ドライバの削除
古いNVIDIAドライバがインストールされている場合、競合を避けるために削除します。 以下のコマンドを実行してください。sudo apt-get --purge remove '*nvidia*'
sudo apt-get autoremove
3.2 適切なドライバの選定とインストール
NVIDIAの公式サイトから、使用しているGPUに適したドライバを確認し、以下の手順でインストールを進めます。- リポジトリの追加 ターミナルで以下のコマンドを実行し、NVIDIAのドライバリポジトリを追加します。
sudo add-apt-repository ppa:graphics-drivers/ppa
sudo apt-get update
- 推奨ドライバの確認 推奨されるドライバを確認するには以下のコマンドを使用します。
ubuntu-drivers devices
出力に「recommended」と表示されているドライバをインストールします。- ドライバのインストール 推奨されるドライバ番号を指定してインストールします。
sudo apt install nvidia-driver-<推奨バージョン>
- インストール後の再起動 ドライバのインストールが完了したら、以下のコマンドでシステムを再起動します。
sudo reboot
4. CUDAツールキットのインストール
4.1 CUDAバージョンの選択
NVIDIAの公式CUDAダウンロードページで、利用しているGPUやUbuntuバージョンに対応するCUDAバージョンを確認します。 最新バージョンを使用する場合、ソフトウェアやライブラリとの互換性を確認してください。4.2 リポジトリの追加とインストール
以下の手順でCUDAツールキットをインストールします。- リポジトリの追加 NVIDIAのリポジトリを追加します(以下はUbuntu 20.04の例)。
wget https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/ubuntu2004/x86_64/cuda-ubuntu2004.pin
sudo mv cuda-ubuntu2004.pin /etc/apt/preferences.d/cuda-repository-pin-600
- リポジトリキーの追加 リポジトリキーを取得してインストールします。
sudo apt-key adv --fetch-keys https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/ubuntu2004/x86_64/7fa2af80.pub
- CUDAパッケージのインストール CUDAツールキットをインストールします。
sudo apt update
sudo apt install cuda
- インストール後の確認 CUDAが正しくインストールされたか確認します。
nvcc --version

5. 環境変数の設定
5.1 PATHとLD_LIBRARY_PATHの設定
CUDAを使用するには環境変数を正しく設定する必要があります。以下の手順を実行してください。.bashrc
ファイルを編集
nano ~/.bashrc
- 以下の行を追加
export PATH=/usr/local/cuda/bin:$PATH
export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/cuda/lib64:$LD_LIBRARY_PATH
- 設定を反映 編集を保存してターミナルを再読み込みします。
source ~/.bashrc
6. cuDNNのインストール
6.1 cuDNNとは
cuDNN(CUDA Deep Neural Network library)は、ディープラーニング用に最適化されたGPUアクセラレーションライブラリです。6.2 cuDNNのダウンロード
NVIDIAの公式サイトから、利用するCUDAバージョンに対応したcuDNNをダウンロードします。 ダウンロードにはNVIDIAのアカウントが必要です。6.3 cuDNNのインストール手順
- アーカイブの解凍 ダウンロードしたcuDNNアーカイブを解凍します。
tar -xzvf cudnn-<バージョン>.tgz
- ファイルのコピー 必要なファイルをCUDAディレクトリにコピーします。
sudo cp cuda/include/cudnn*.h /usr/local/cuda/include
sudo cp cuda/lib64/libcudnn* /usr/local/cuda/lib64
sudo chmod a+r /usr/local/cuda/include/cudnn*.h /usr/local/cuda/lib64/libcudnn*
- インストール確認 以下のコマンドでcuDNNのバージョンを確認します。
cat /usr/local/cuda/include/cudnn_version.h | grep CUDNN_MAJOR -A 2

7. インストールの確認
7.1 CUDAの動作確認
以下のコマンドでCUDAが正しくインストールされているか確認します。nvcc --version
7.2 サンプルプログラムの実行
CUDAのサンプルプログラムを実行し、動作を確認します。- サンプルのセットアップ
cuda-install-samples-<バージョン>.run
cd ~/NVIDIA_CUDA-<バージョン>_Samples/1_Utilities/deviceQuery
make
- プログラムの実行
./deviceQuery
出力結果に「PASS」と表示されればインストールは成功です。8. トラブルシューティング
8.1 よくある問題と解決策
- 問題: CUDAが正しく認識されない 解決策: 環境変数設定を再確認し、再起動してください。
- 問題: GPUが利用されない 解決策: NVIDIAドライバの再インストールを試みてください。
- 問題: CUDAとソフトウェアの互換性がない 解決策: ソフトウェアが対応するCUDAバージョンを確認し、それに合わせたバージョンをインストールしてください。
9. まとめ
本記事では、Ubuntu環境でのCUDAおよびcuDNNのインストール手順を詳しく解説しました。 この手順を正確に進めることで、高速なGPU計算環境を構築することが可能です。 ディープラーニングや科学計算での活用を目指す方は、次のステップとしてTensorFlowやPyTorchのセットアップも検討してみてください。関連記事
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