1. 日本語入力環境の確認とインストール
Ubuntuを日本語で快適に操作するためには、正しく日本語入力環境を整えることが欠かせません。このセクションでは、現在の入力メソッドの確認方法と、日本語入力メソッド「Mozc」のインストール手順について解説します。
現在の入力メソッドを確認する方法
まず最初に、自身のUbuntu環境でどの入力メソッドが使用されているかを確認しておきましょう。Ubuntuでは、一般的に「IBus(Intelligent Input Bus)」というフレームワークが使われています。
確認手順は以下のとおりです。
- 左下の「アプリケーションメニュー」から「設定」を開きます。
- 「地域と言語」を選択します。
- 「入力ソース」の欄を確認し、既に「日本語(Mozc)」や「日本語(Anthy)」などが追加されていないかをチェックします。
もしここに日本語入力が表示されていなければ、次の手順でMozcをインストールする必要があります。
日本語入力メソッド「Mozc」のインストール手順
Mozc(モズク)は、Google日本語入力をベースにしたオープンソースの日本語変換エンジンで、Ubuntuでの日本語入力環境として広く利用されています。
以下の手順でインストールできます。
- 端末(ターミナル)を開きます。
- 次のコマンドを順番に入力してください。
sudo apt update
sudo apt install ibus-mozc
apt update はパッケージ情報を最新化するコマンドで、apt install はibux-mozcパッケージのインストールを行います。
- インストールが完了したら、ログアウトまたは再起動を行って、システムに変更を反映させます。
入力メソッドの有効化確認
再ログイン後、もう一度「地域と言語」設定画面を開き、入力ソースに「日本語(Mozc)」が追加されているかを確認しましょう。ここで表示されていれば、インストールは成功です。
もし「日本語(Mozc)」が見つからない場合は、「+」ボタンを押して入力ソースを追加することで選択できるようになります。
2. 入力ソースへの日本語(Mozc)の追加
Mozcのインストールが完了した後は、Ubuntuの入力ソースに「日本語(Mozc)」を追加することで、実際に日本語入力を使えるようになります。このステップを行わないと、インストールしただけでは日本語入力を開始できません。
ここでは、入力ソースへの追加方法をわかりやすく解説します。
「地域と言語」から入力ソースを追加する手順
- 画面左下の「アプリケーションメニュー」から「設定」を開きます。
- サイドバーから「地域と言語」をクリックします。
- 「入力ソース」セクションの下にある「+」ボタンをクリックします。
すると、さまざまな言語や入力方式がリストで表示されます。
- 「日本語」と入力して検索するか、カテゴリから「日本語」を選択します。
- 一覧の中から 「日本語(Mozc)」 を選び、「追加」をクリックします。
これで入力ソースに「日本語(Mozc)」が追加され、キーボードの切り替え操作によって日本語入力が可能になります。
入力ソースの順序に注意
入力ソースは追加された順に優先順位が設定されます。たとえば、最上位に「日本語(Mozc)」があると、起動時に日本語入力が初期状態になることがあります。これは状況によって便利な場合と不便な場合があるため、用途に応じて順序を調整すると良いでしょう。
順序の変更は、入力ソースのリストでドラッグ&ドロップすることで可能です。
入力インジケーターを確認しよう
画面右上のパネル(トップバー)には、現在の入力ソースを示すインジケーター(例:「EN」や「あ」など)が表示されます。ここをクリックすると、利用可能な入力ソースを簡単に切り替えることができます。
ここで「日本語(Mozc)」が表示されていれば、設定は正常に完了しています。
3. 日本語入力への切り替え方法
Mozcのインストールと入力ソースの追加が完了したら、いよいよ日本語入力の切り替え操作を行えるようになります。このセクションでは、Ubuntuでの日本語入力と英語入力の切り替え方法、およびショートカットキーのカスタマイズについて詳しく解説します。
デフォルトの切り替え方法
Ubuntuでは、入力ソースを簡単に切り替えるためのショートカットキーがあらかじめ設定されています。日本語入力を有効にするには、以下の操作を試してください。
- 「Super(Windowsキー) + Space」
- 「半角/全角」キー(日本語配列キーボードの場合)
通常、これらのキーを押すと、入力インジケーターが「EN(英語)」から「あ(日本語)」に切り替わります。切り替え後に日本語をタイプできるようになります。
補足:日本語配列では「半角/全角」キーが使えますが、英語配列では「Super + Space」が一般的です。お使いのキーボードに合わせて使い分けましょう。
現在のショートカットを確認・変更する
自分の環境で使われているショートカットキーを確認したい場合、以下の手順で設定画面にアクセスできます。
- 「設定」→「キーボード」を開きます。
- 「入力ソースの切り替え」項目を探します。
- ここで現在割り当てられているショートカットを確認できます。
ショートカットキーが競合している場合や、自分好みに変更したい場合は、同じ画面でキーの再設定も可能です。
Mozc側の設定でもカスタマイズ可能
Mozc自体にもキー設定のオプションがあります。Mozc設定画面を開くには、次の手順を実行してください。
- 画面右上の入力インジケーター(例:「あ」や「EN」)をクリック
- 表示されたメニューから「Mozc設定」を選択
Mozc設定内の「キー設定」タブを選ぶと、入力モードの切り替えや候補ウィンドウの操作に使うキーを細かくカスタマイズできます。たとえば、以下のようなキー設定も可能です:
- 英数入力⇔日本語入力:
Ctrl + Space
- ひらがな⇔カタカナ:
F7 / F8
こうしたカスタマイズにより、自分にとって使いやすい入力環境を整えることができます。

入力モードの状態を視覚的に確認
入力が英語モードか日本語モードかを判断するには、画面右上のインジケーターを見るのが最も確実です。
- 「EN」 → 英語入力
- 「あ」または「A」 → 日本語入力(Mozc)
この表示が切り替わっていない場合は、ショートカットキーの設定や入力ソースの優先順位を再確認しましょう。
4. トラブルシューティング
Ubuntuで日本語入力を設定しても、うまく切り替わらなかったり、入力できなかったりすることがあります。このセクションでは、よくあるトラブルとその対処法をケースごとに分けて解説します。
日本語入力ができない場合の確認ポイント
1. Mozcが正しくインストールされていない
まず、以下のコマンドで ibus-mozc
がインストールされているか再確認しましょう。
dpkg -l | grep ibus-mozc
表示がない場合は、以下のコマンドで再インストールします。
sudo apt update
sudo apt install ibus-mozc
インストール後は、必ずログアウトまたは再起動を行ってください。Mozcは再ログインしないと有効化されないことがあります。
2. 入力ソースに「日本語(Mozc)」が追加されていない
「設定」→「地域と言語」を確認し、「入力ソース」に「日本語(Mozc)」が含まれているかを確認します。見つからない場合は、「+」ボタンから追加し直してください。
キーボードショートカットが反応しない
1. ショートカットが別のアプリと競合している
Ubuntuのキーボード設定で「入力ソースの切り替え」に割り当てられているキーが、他のショートカットと競合していると、切り替えがうまく動作しません。
「設定」→「キーボード」→「入力ソースの切り替え」から、他と競合しないキーに変更してみてください(例:Ctrl + Space
など)。
2. 入力モードの状態が視覚的に分かりにくい
特に英語配列キーボードでは、「半角/全角」キーがないため切り替えが直感的でないことがあります。画面右上の入力インジケーター(例:「EN」や「あ」)を確認する習慣をつけると、モードの混乱を防げます。
入力中に候補が表示されない/変換されない
これはMozcのプロセスが正しく起動していない可能性があります。以下の手順でMozc関連プロセスを再起動しましょう。
ibus restart
その後、再度端末またはエディタで日本語を入力し、変換候補が表示されるか確認してください。
最終手段:設定のリセット
どうしても解決しない場合は、IBusとMozcの設定を一度リセットしてから再設定するという手もあります。
rm -r ~/.config/ibus
ibus restart
ただし、上記コマンドはIBusの個人設定を初期化しますので、他にカスタム設定がある場合は注意してください。
5. よくある質問(FAQ)
Ubuntuの日本語入力に関する設定は、初めての方にとって戸惑うことも多いものです。ここでは、特に読者から寄せられやすい疑問をQ&A形式でまとめました。困ったときにぜひ参考にしてください。
Q1. Ubuntuで日本語入力を有効にするにはどうすればいいですか?
A.
まず、ibus-mozc
をインストールする必要があります。ターミナルで以下のコマンドを実行してください。
sudo apt update
sudo apt install ibus-mozc
その後、「設定」→「地域と言語」から「日本語(Mozc)」を入力ソースに追加します。ログアウトまたは再起動後、日本語入力が使えるようになります。
Q2. キーボードショートカットで日本語入力を切り替える方法は?
A.
標準では「Super(Windowsキー)+ Space」または「半角/全角」キーで切り替えが可能です。キーボードの種類によっては使えない場合もありますが、その際は「設定」→「キーボード」でショートカットをカスタマイズできます。
Mozcの設定でも「Ctrl + Space」など任意のキーに切り替えを割り当てることができます。
Q3. 日本語入力が突然できなくなったのですが、どうしたらいいですか?
A.
まず以下を順に確認してください。
- Mozcがインストールされているか
- 入力ソースに「日本語(Mozc)」があるか
ibus restart
でMozcを再起動してみる- ショートカットキーが他と競合していないか
それでも直らない場合は、IBusの設定をリセットすることで解決することもあります(※設定が初期化されるので注意)。
Q4. Mozc以外の日本語入力システムは使えますか?
A.
はい、可能です。Ubuntuでは「Anthy」や「fcitx-mozc」なども利用可能です。ただし、Mozcは変換精度が高く、日本語入力の快適さにおいて最も評価されています。特に初心者にはMozcをおすすめします。
Q5. 入力中に変換候補が表示されません。なぜですか?
A.
Mozcのプロセスがうまく動作していない可能性があります。以下のコマンドで再起動してみてください。
ibus restart
また、アクティブウィンドウによっては変換候補が正常に表示されない場合もあります。別のテキストエディタで動作確認するのも一つの手です。